不動産売却時の税金イメージ

不動産を売却する際にかかる税金は3つ、登録免許税、印紙税、譲渡に係る所得(譲渡所得税)です。

この3つの中でも一番で気になるのは高額な納税となる譲渡所得税ですが、まず初めに登録免許税についてからご紹介させていただきます。

登録免許税とは?

登録免許税は、登記変更や申請の際に発生する税金で、相場は1〜2万円程度となっています。
内訳は、抵当権抹消登記を申請する際にかかる登録免許税、不動産1筆につき1,000円、土地1筆の上に建物が1つの場合には2,000円です。
また、司法書士に抹消登記の申請手続きを依頼する場合は、司法書士への報酬も別途発生します。

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不動産売却時の登録免許税は、原則として買主が負担※1します。しかし、売却した物件に抵当権がついている場合は、売主が抵当権を抹消する際にも登録免許税を支払う必要があります。
※1、登録免許税は登記等を受ける者が2人以上の場合は、これらの者が連帯で納税義務を負うことになっており、本来ならば売主と買主の双方の共同負担です。しかし、不動産売買に関して言えば、慣習として買主が登記費用を負担するケースが多い。

印紙税とは?

印紙税は、課税文書(契約書や領収書など、一定の要件を満たす文章のこと)には印紙税が課されます。
不動産の場合、不動産契約をするときに交わす契約書に添付する収入印紙の購入費用です。

印紙税額は下記表をご覧下さい。尚、軽減税率適用によって、20~50%の軽減となっております。

不動産譲渡契約書の契約金額 本則税率適用の場合(円) 軽減後の税率適用の場合(円)
10万円超 50万円以下 400 200
50万円超 100万円以下 1,000 500
100万円超 500万円以下 2,000 1,000
500万円超 1,000万円以下 20,000 10,000
5,000万円超 1億円以下 60,000 30,000
1億円超 5億円以下 100,000 60,000

譲渡所得税(住民税・所得税・復興特別所得税)とは?

不動産売却時にかかる一番高額な税金、譲渡所得税(住民税・所得税・復興特別所得税)についてご紹介します。

  1. 譲渡所得税とは?
  2. 譲渡所得税の計算方法
  3. 譲渡所得税の税率

1、譲渡所得税とは?

譲渡所得税とは、不動産売却時に発生する税金です。
売却益に対して課税される税金で、売却益とは売却価格から購入価格と売却費用を差し引いた額です。
例えば、不動産を4,000万円で売却しました。
取得費は2,000万円、不動産仲介会社に仲介手数料やその他費用を150万円支払ったとします。その場合は

4,000万円(譲渡収入金額)ー2,000万円(取得費)ー150万円(経費)=1,850万円(課税される譲渡所得)

となり、利益となる1,850万円に対して課税されます。マイナスの場合は不動産を売却しても税金は発生しません。

2、譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税の計算方法は次のとおりです。

譲渡所得

譲渡所得 = ①売却価格 – ②購入価格 – ③売却費用 – ④特別控除

譲渡収入金額(①売却価格)

売却価格:不動産を売却した価格です。
不動産を売却した際の収入金額は、売却代金です。ただし、手付金や固定資産税の精算金なども収入金額に含まれます。不動産の売却による譲渡所得は、不動産を引き渡した日の属する年の所得として申告する必要があります。
不動産を売却する際には、固定資産税の取り扱いにも注意が必要です。固定資産税は1月1日現在の土地や建物の所有者に対して1年分が課税されます。
したがって、不動産の売却が年の途中で行われる場合は売主が既に支払っている固定資産税の額を日割計算し、売却した日以後の固定資産税については買主から受け取るのが一般的です。
このようにして固定資産税の精算により受け取った金額は、不動産の売却時に収入金額に含めなければなりません。年の途中で不動産を手放したことにより、固定資産税が還付されているわけではないため間違えないようにしましょう。

取得費(②購入価格)

購入価格:不動産を購入した価格です。
不動産の取得費とは、不動産を購入した際にかかった費用の合計額です。土地と建物では、取得費の計算方法が異なります。

土地の取得費
土地の取得費は、購入代金に登録免許税や不動産取得税などの税金、登記費用、仲介手数料、印紙代などの諸費用を加えた金額です。
また、年の途中で購入した場合は、前の所有者に支払った固定資産税の精算金も取得費に含まれます。

建物の取得費
建物の取得費は、土地の取得費と同じように計算しますが、建物は減価償却の対象となるため、購入代金から減価償却費を差し引いた金額が取得費となります。
減価償却費とは、建物が年々価値を失っていくことを考慮して、建物を購入した年度から一定期間にわたって費用として計上する金額です。減価償却費の計算方法は、建物の種類や耐用年数によって異なります。

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建物の減価償却費の額は「購入代金等×0.9×償却率×経過年数」で求めます。
3,000万円で購入した木造住宅を10年経過後に売却する場合の減価償却費は以下のとおりです。
減価償却費 = 3,000万円 × 0.9 × 0.031 × 10年 = 315万円
つまり315万円が償却費となります。

※償却率について
居住用の建物の場合、建物の構造に応じて国税庁が定める償却率を用いて計算します。
木造住宅の場合は0.031、軽量鉄骨の場合は0.025、鉄筋コンクリートの場合は0.015。
また、法定耐用年数を超えている場合の経過年数は法定耐用年数に0.2を乗じて算出します。

下記は、不動産の取得費を計算する際、注意する2つのケースです。

1、土地部分と建物部分の金額が区分されていない場合
分譲住宅を購入した際、土地と建物の内訳が明らかにされていないことが多く、譲渡所得を求めるには建物部分について減価償却費を計算しなければならないため、土地部分と建物部分を区分する必要がある。

2、購入した金額が分からない場合
例えば、遠い先祖の土地を売却しようとします。その土地の購入した金額が分からない場合は、「収入金額×5%」(概算取得費)を取得費とすることができます。
また、実際の取得費が低く、収入金額×5%の方が実際の取得費よりも高くなる場合も、概算取得費を取得費とすることができます。

譲渡費用(③売却費用)

売却費用:不動産の売却にかかる費用です。
主に仲介手数料、印紙代(売買契約書)、土地を売却するための建物解体費用、測量費用、立退料(借主立ち退き料)などです。

④特別控除

特別控除が適用できる場合は、課税所得から差し引くことができます。

  • マイホームを売却した場合、所有期間の長短に関係なく、最高3,000万円の特別控除が認められます。
  • 被相続人が住んでいた建物やその敷地を相続人が売却した場合、最高3,000万円の特別控除が認められます。
  • 買い換え特例:居住用財産を売却して、一定期間内に別の居住用財産を購入した場合、譲渡所得税が非課税となります。
  • 公共事業などのために土地や建物を売却した際には、最高5,000万円の特別控除が認められます。

上記の特別控除には条件もあります。例えば、
家屋を取り壊して土地を売却する→家屋を取り壊した日から1年以内に土地を売却する契約締結。住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却
家屋を解体して売却までの間に貸駐車場など他の用途に用いる→特例の適用は受けられない
などです。
その他にも条件は細かく定められており、適用できるかどうかしっかり確認が必要です。詳しくはお問い合わせよりご連絡下さい。

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不動産の買換え買換え時、「3,000万円特別控除」と「特定居住用財産の買換え特例」は、どちらを利用した方がお得?
一定の要件を満たしていれば、譲渡所得には「3,000万円特別控除」や「特定居住用財産の買換え特例」が適用されますが、併用は認められていません。では、どちらの方がお得なのか?

3,000万円特別控除とは
3,000万円特別控除とは、居住用の不動産を売却した場合に、所有期間に関係なく譲渡所得から特別控除として、最大3,000万円を差し引くことができるという特例。

特定居住用財産の買換え特例とは
所有期間が10年を超える物件を売却し、新しく建物50平米以上・土地500平米以下の住居を購入するなど一定の要件にあてはまる場合に適用できる特例。 この特例を受けることにより、物件の売却価格と新しいマイホームの購入価格を差し引き、同額部分に対する課税を繰り延べる(持ち越す)ことができます。課税のタイミングを将来に先送りするため、税金の支払いを免除される訳ではないことに注意が必要です。

どちらを利用したらお得か?!→不動産売却をするお客様の状況により異なります。

損をしないためにも、しっかり計算してから決めましょう。
この3,000万円特別控除と特定居住用財産の買換え特例に関しては、後日コラムにて記事にします。

譲渡所得の金額が出たら、次は税率を乗じて所得税額を求めます。
下の譲渡所得税の税率へお進みください。

3、譲渡所得税の税率

譲渡所得税の税率は給料とは異なり、不動産を保有していた期間により税率が変わります

短期譲渡所得(税率39.63%)

土地や建物を5年以下所有していた場合:39.63%(所得税30.63%、住民税9%)
※売却した年の1月1日時点で5年以下の場合

長期譲渡所得 (税率20.315%)

土地や建物を5年超~10年以下所有していた場合:20.315%(所得税15.315%、住民税5%)
売却した年の1月1日時点で5年を超える場合

長期譲渡所得(所有10年超)(税率14.21%)

土地や建物を10年以上所有していた場合:14.21%(所得税10.21%、住民税4%)
譲渡所得のうち6000万円までがこの税額です。6000万円を超える部分は5年超~10年以下所有と同じ税率20.315%(所得税15.315%、住民税5%)となります。

上記を見ると、税率は保有期間が長いほど低くなる仕組みだとわかりますね。
では、その保有期間がいつから始まるかご紹介いたします。

不動産保有期間について

保有期間の計算方法は、原則物件の引渡しの日(購入した際の不動産引渡し日)です。(ただし、例外も有り)
また所有期間は、売却した年の1月1日より計算します。

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例:2016年11月28日に取得した不動産をを売却する場合
2021年12月28日に不動産売却(譲渡)の場合
所有期間は5年1ヵ月・譲渡の年の1月1日時点で所有期間を計算→2021年の1月1日時点だと所有期間4年1ヵ月になるので短期譲渡所得適用となります。
2022年1月28日に不動産売却(譲渡)の場合
譲渡の年、2020年1月1日時点で所有期間5年1ヵ月→長期譲渡所得適用となります。

課税譲渡所得 が1,000万円だった場合、長期譲渡所得の税金は203万1,500円、短期譲渡所得の税金は396万3,000円となります。

つまり、396万3,000円 – 203万1,500円 = 193万1,500円の節税となります。

不動産売却で節税するには、正しい所得の計算と特別控除の確認を!

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